Kダブシャイン × Blah の異色対談:日米LGBT問題をめぐる1万字インタビュー

日本ヒップホップ界の重鎮として社会性の強いメッセージを発信してきたラッパーのKダブシャイン氏と、在米邦人Blah氏のDM(ダイレクトメール)対談が実現! 日米のLGBT問題について語り合ってもらいました。


Blah(以下、B):こんにちは。Kダブさんとは2020年のBLM(ブラック・ライブズ・マター)運動や米大統領選を通してTwitter上で意見交換させていただいてましたけど、今回はじっくりLGBT問題についてお話しできるということで楽しみにしています。

特にLGBTジェンダー論に関心を持つようになったきっかけはありますか?


Kダブシャイン(以下、K):こんにちは。元々若い頃にアメリカにいて、人種問題やレイシャル・マイノリティ(ある国・地域に住む少数派の人種)については、自分なりに学んではいたんですが、LGBT関連に対して具体的にどういうことなのか理解しようと思ったのはまさに‟LGBT”というフレーズが広まり始めた時期でした。しかし、古くは「おかまって、なんなんだ?」と不思議さを感じるようになったのは、テレビでおすぎとピーコを見た子どもの頃からですね。


B:確かに昔から日本のエンタメ界には美輪明宏さんや美川憲一さんなど性別不詳と思われる方達がいて、幼心に不思議でした。

宇多田ヒカルさんが「ノンバイナリー」(自分の性認識に男性か女性かという枠組みをあてはめようとしない考え方)を公言したり、最近話題の映画「片袖の魚」で当事者であるイシヅカユウさんがトランスジェンダー女性を演じるなど、多様なセクシャリティが受け入れられている気がします


K:日本は歌舞伎にしても、宝塚にしてもずっと大衆には許容されてることもあって、特に社会として阻害してる印象はなかったです。最近は変わったのかも知らないけど、新宿2丁目もアトラクション的な需要で愛されてきましたよね。


B:歴史的に見ても武士の男色とか、女人禁制のお寺の稚児とかありますしね。近代ならエス文学(特に戦前の、日本の少女・女学生同士の強い絆を描いた文学)とか。あとBL(ボーイズラブ)はもう海外にまで波及する一大文化ですね。米国のアニメイトみたいな店舗に行くと、翻訳された日本のBLコミックスがぎっしりで、有名な作家さんの同人誌はeBay(インターネットオークション)とかで高値がついてたりします。

Twitterで日本のLGBT当事者さんとお話しすると、欧米と比べ日本は寛容だという方が多いですけども。


K:そうですね。そういうところからも日本は同性愛文化には娯楽として柔軟な気がします


B:KダブさんはLGBT当事者が身近にいたり、御自身で悩まれたりしたことはありますか?


K:公立の中学だったのでクラスに一人、いま考えると明らかにLGBTに属する同級生がいたり、美人姉妹の弟で美形の同級生は何人かの男子からよく触られてるのを見て笑ってましたが、内緒で触らせてるヤツとかもいて、まあまあ変わったヤツなんだなと思ってました。

その後、渡米してサンフランシスコにいたので、割と慣れさせられてはいましたけど、ブルックスブラザーズでシャツを買おうとしたら、やたら撫でてきた店員がいたので「I'm straight」と言って回避した記憶があります。


B:Kダブさんは米国ゲイにモテそうな感じしますね。


K:個人的にはやはりベイエリアに馴染みがあったのと、音楽業界にいるのでゲイへの偏見はなかったんですが、男で、ラッパーで勇気のないヤツや裏切り者を「プッシー」とか「ビッチ」、「ゲイマザーファッカー」なんて呼んでいたので、各地からホモフォビア(同性愛嫌悪)なミソジニスト(女性蔑視者)と責められ、一気に両方で叩かれたこともありますけどね。


B:キャピキャピしてたり、なよなよした様子を“That’s so gay!”とかってゲイ当事者も言いますよね。

対象が誰であれ「差別か否か」の線引きは非常に難しい、というのは先日のLGBT理解増進法案でも議論されましたが、法案に対する世間の認知度とか理解度ってどんな感じでしたか?


K:いま日本で生活をしていると、自分が保守寄りなのもあり、LGBT法よりも同じ時期の中国非難決議が通らなかったことへの不満の方が多かったように見えていました。そして、まだ規模的にもWoke(※1)たちのヒステリックな反動は表立って来てないように感じます。

※1「目覚めた者」の意で、現代リベラル的価値観に突き動かされ、しばしば集団で過激な社会運動に走る人々。


B:欧米と比べLGBT問題に対する興味がまだ薄いというのは遠巻きにわたしも感じました。

日本を賑わせたLGBTニュースって、経産省トランス職員トイレ問題とお茶の水女子大トランス受け入れ問題くらいですかね?


K:そこまで世間を賑わしてるかはわからないんですけど、地元の渋谷区では結構早めにLGBTに理解を示した施策を打ち出していたので、近所でゲイカップルを見かけることも増え、日常的に彼らを意識する機会はまあまあ多くなりました。自分もヒップホップ仕込みのホモフォビア的な部分を考え直す時期なんだと思って納得してはいたんですが。


B:ヒップホップ仕込みのホモフォビアというあたりについてもう少し聞きたいです。確かにヒップホップの歌詞ってゲイに対する侮蔑的表現が多用されていますよね。


K:ヒップホップのルールというよりは、ゲトー(スラム街などの貧困地区)の日常会話やスラング(俗語)をそのまま歌詞に反映させるスタイルが定番として浸透したのが理由として大きいのですが、ラップが侮蔑的な表現を好むことでミソジニー(女性蔑視)ともよく言われますね。アメリカのマチズモ(男性優位主義)が、ヒップホップの中で根強く残っているのだと分析します。


B:個人的には昨今のLGBTブームにうまく乗ったLil Naz X(リル・ナズ・X、米国の新鋭ラッパー)あたりが流れを変えるような気もするんですが。


K:細かくなるのですが、リル・ナズは、ラップはポップセールスの成績は良くても、ストリートのヒップホップコミュニティには別物として扱われてますね。ラッパーであってもヒップホップではない、LGBTアイコンのポジションに落ち着くと思います。


B:なるほど。LGBTアイコンと言えば、ケイトリン・ジェンナー(米国の元五輪金メダリストでトランスジェンダー)、彼女は共和党からカリフォルニア州知事選挙への出馬を表明してますけど、彼女も保守派からは別物として扱われてますね。

でも彼女を見直した保守もいて、その理由が「トランスジェンダー女性の女子スポーツ参加に反対したから」というものなんです。東京オリンピックに初めてトランスジェンダー選手の女子重量挙げ出場が決まった件ですね。

K:ジェンナー氏は元々自分自身が格式のあるアスリートという意識もあるだろうから、スポーツマンシップの視点からも、トランスの女子スポーツ侵略がフェアな精神とかけ離れてることを内臓で判断できるのだと思います。


B:日米問わず、生物学的男性の女子スポーツ参加は反対の声も大きいですね。

そこへ先日、元なでしこジャパンの横山選手がトランスジェンダー男性だとカムアウトして話題になりました。女性とも恋愛経験があって20歳の時に乳房切除手術を受けているんだそうです。現役を退いたら、さらに性別適合手術を進めたいと。

でもね、彼女はトランスジェンダーでも男子枠じゃなくて女子枠でやってるんですよ。勝てないですもん、男子枠じゃ。アマチュアの高3男子が女子プロサッカーチームをコテンパンにできるくらい、男女の身体能力には差があるわけですよ。テストステロン値をいくら調整しても、骨密度や骨格、心臓の大きさや筋繊維なんかまで違う。ケイトリン・ジェンナーはプロアスリートだからその辺を熟知してるんですよね。


K:トランスジェンダーの女子スポーツやトイレが性別を分けなくなるなどのニュースを見て、本末転倒な印象を持ち始めましたね。"She"とか"He"が、"They"になるのにも文法的に受け入れられません。


B:pronoun(代名詞)問題ですね。自身の性自認に合わせて他者に使って欲しい代名詞を選ぶわけですけど、最近はアカデミアやホワイトハウスまでがpronounを積極的に使用しています。New York Timesによると若者を中心にどんどん新しい代名詞が作られていって、今では200を超える代名詞があるそうです。neopronounと言うんですが、xe/xer/xers/xerself みたいな定番化しつつあるものから、pri/prin/prins/princeself というギャグのようなものまで、ちょっと付き合いきれないです。


K:日本語でも「看護婦」と言うと「看護師」に直されたりとか、「婦人警官」が「女性警察官」とか呼び方にこだわるようになったことにも、必然性はあまり感じていません。なぜなら呼び方よりも、その人への態度や姿勢の方が誠実さを示せると思うので。でも、あまり共感されてはいませんけど…


B:バイデン政権らが主導する「性の多様性に配慮して‟mother”を“birthing person”と呼べ」みたいなのと根底は同じなんですよね。一方では女性に配慮して言葉を変え、もう一方では女性以外の性に配慮した結果、皮肉にも女性の性が抹消されてしまう

先ほどの横山選手ですけど、代名詞が‟they”なんですって。英文記事だと”Yokoyama said they had undergone‘top surgery’….”とか書いてあるので、非常に混乱します。この“they”は横山選手のことで、別の‟彼ら”じゃないんですよ。人によっては記事中で‟she/he/they”など複数の代名詞で示されていて、こうなるともう読み手にはどれが誰やら全く意味が通じないわけです。言語の破壊行為だなと。

日本のLGBT運動家はやたら欧米をお手本にしたがりますけどね。


K:文化や歴史的背景も違うので、現在のアメリカと日本のLGBT事情はまず分けて考えることが大切だと思います。そもそも同性愛におおらかな日本と、宗教的タブーの欧米では世の中への溶け込み具合も、受け入れ方も全く別ものです。


B:現在米国の4.5%がLGBT当事者と言われているんですが、LGBTの43%は無党派で、民主党支持が40%、共和党支持が11%なんです。共和党はエヴァンゲリカル(福音派)などLGBT否定派が多いですから、やはりKダブさんの仰る通り宗教観も大きく影響しているわけですね。とはいえ全体的には保守もだいぶLGBTに寛容になりましたし、保守回帰したLGBT当事者も増えました。これはトランプ政権の功績も大きいと思いますが。特にゲイのトランプ支持者は爆増しましたね。


K:初めトランプ大統領は共和党福音派を支持母体にしてたので、ゲイ政策には消極的なのかと思ってたら、あとから全く違うことを知りました。そこはさすがニューヨーカーで交友関係も広いから、彼らへの理解がすでにあったのでしょう。危うくフェイクニュースにだまされるところでしたよ。


B:トランプ大統領はなぜかLGBTに辛辣だと、それこそKダブさんのように言葉を切り取られてホモフォビアのミソジニストと叩かれていました。実際は初のゲイ官僚リチャード・グレネル元駐独大使を国家情報長官代行に任命するなどしていますし、#WalkAwayリーダーのBrandon StrakaやDave Rubinなどのゲイ言論人たちもトランプ大統領の実直な人柄を高く評価してるんですね。またゲイで保守の記者Chad Felix Greeneが、トランプ=反LGBTというメディアのプロパガンダを実際の政策や言動と照らし合わせて批判した本も書いてます。‟Without Context”というタイトルなんですが、まあ日本の反トランプなメディア関係者や学者でこれを読んだ人はいないでしょう。


K:同性愛者は、どの時代のどの人種でも4%はいたとの研究結果があります。そして、繁殖行為をしなくても絶滅しないということは存在理由が自然にあるのだから、科学的にそれは理解されるべきで、宗教的理由でいじめや魔女狩りのような不幸なことがあってはならないのです。

ただ早急に日本でもLGBT法案を推し進める必要があるのかどうかは、甚だ疑問に思います。LGBT関連は、この数年で突然、配慮されるようになりましたが、まだまだ議論つくされている印象はほとんどありませんね


B:トランスジェンダーのスポーツ参加、トランス女性の女性スペースの使用もそうですけど、Twitterを見ているかぎりでは平行線というか、議論がループしてる感はあります。

多くの女性は男性器を持ったままの人や、完全に性別適合手術を受けていない身体の男性が女性スペースに入ってくることを恐怖に感じているわけですね。Kダブさんのようにどんなに温厚そうで紳士な方でも、女子トイレへの侵入はこれまでNGでした。しかしこれからは「性自認」が女性であれば、身体が男性の人が堂々と女性のスペースに入って来れるのではと懸念されてます。

5月にも経産省トイレ制限訴訟がありましたけど、男性から見てこのトイレ問題ってどうですか?


K:トイレ問題は嫌がる人がいるなら、話し合いがもっと必要なのでしょう。女の人が怖がるのは当然ですよね。でももし逆に男性用に元女性が堂々と入ってくれば「ようこそ、よく来たね」と歓迎してあげたいですけど、それはやっぱり体力的に強いから、そんな余裕があるんでしょうね。

どっちかと言うと立派な男性器のついた屈強なホモセクシャルが男性用サウナで、他のストレート客をエロい目で凝視するほうがクリーピー(ぞっとするような)な気がするし、実際ジムとかでも昔からいっぱいいますよね。90年代にワールドトレードセンターの地下トイレを有名なハッテン場だというのを知らずに使ったとき、両側から覗きこまれて縮み上がったのを思い出しました。


B:殿方にもいろいろあるんですね。


K:なにも知らずにジムやサウナで世間話をしている相手がカミングアウトしてないゲイで、実はいつも目で犯されてたとしたらちょっと恐怖ですよね。平気で口説こうとしてくる羞恥心のない高齢者のゲイじいさんにナンパされたり、シャワールームでオーラルポジションの複数の影をガラス越しに目撃したこともあったりして、スポーツジムはいつもスリリングです。


B:性的な目で見られる、言い寄られるという懸念は、男-男でも女-女でも同じわけですけど、男-女となるとやはり身体能力とか性欲の差でパワーバランスが不均衡ですからね。老齢の男性が間違えて女性トイレに入ってきても、心拍数が上がる女性は多いでしょう。

また性の力関係という点においては子供達のことも気がかりですよね。


K:僕がいちばん問題に思うのは、自分で決断をした大人は、結果も自分の責任だからそれは尊重してますが、最近の子供への性教育やエンタメでの誘導は、これも最近問題になっている「批判的人種理論」と同じで、それを最も懸念すべきです。子どもたちは、われわれの未来ですから。

あまりに行き過ぎると、家族制度の破壊が増すことにもつながるでしょうから、しわ寄せはここでも次世代にやって来ますよね。


B:LGBTの低年齢化や早期ジェンダー教育は、わたしも非常に懸念しています。欧米は子供へのホルモン治療や性別適合手術の垣根が非常に低いんですよ。子供の「自由意志」が最優先で親の同意を必要としないんですね。友人間で集団感染のような傾向もあって、それこそプレティーン(10歳から12歳までの若者)の頃からLGBTを自称して、友人グループの大半がトランスでパンセク(パンセクシュアル、全性愛。あらゆる性別の人が恋愛対象になる人)でって…。実際にはADD(注意欠陥障害)とか、鬱とか、拒食症とか、何かしら他の「生きにくさ」を抱えてるケースが大半なんですが。

また子供達を政治利用したり性の道具に仕立てる大人もいるわけですよ。子供達も注目や称賛を浴びることに夢中になってしまって、インフルエンサーとかユーチューバーとか、今みんなLGBTですからね。ティーンがホルモン注射のレビューとか乳房除去レポとかやってるという。


K:日本でもこの1~2年で突然レインボーが存在感を見せ始め、広告やメディアの扱いもポリティカルコレクトネスを強調するものが増えてきました。誰もが自分らしくあるべきですが、それは各々が若さの特権で模索すべきものであり、あらかじめ大人が用意した場所に甘い言葉で誘導するのは、子供にとっての本当の自由とは違うことを大人は思い出して欲しいです。


B:情報過多というのもあるんですけど、子供達の場合やっぱスマホですよ。ROGD(Rapid Onset Gender Dysphoria:急速発症性性別違和)って突然性別違和を訴える子供達とスマホの普及率には相関関係があるとするデータもあります。スマホが市場に出回り始めた2007年あたりから完全に子供達に普及する2017年あたりまで、スマホ普及率とROGD爆増のグラフはシンクロしてるという。24時間友人と繋がれるスマホはROGDの集団感染的な側面を助けているだけでなく、犯罪者や危険行動への窓口でもありますから、親御さん達は心配だと思いますね。


K:専門的に研究している学者ではないので、一般論というか今までの常識から考えることしかできないのですが、学校教育で小学生低学年にマスターベーションやアナルセックスを教えるとか、友情と恋愛をミックスさせるような指導は必要ないと思います。同時に自分はCRT(Critical Race Theory、批判的人種理論 ※2)も問題視してますが、ある黒人がレイシズム撤廃への取り組みに40年以上もかかってきたのに、LGBTに関しては4~5年で一気に変わったと不思議がっていました

※2 人種は生物学的特徴ではなく、有色人種を抑圧し搾取するために社会的に構築されたものとする知的運動。白人蔑視・自虐史観に繋がるとして米国で論争になっている。根底にマルクス主義がある。


B:一気にLGBTだトランスだ、ってなりましたもんね。その秘密がトランスジェンダーロビー団体のマニュアルにあると、The Spectator誌が記事にしているんですよ。

世界最大規模の法律事務所であるデントンズ法律事務所とトムソン・ロイター財団が作成してるマニュアル(※3)なんですが、世界各国の法律を網羅した上で政治家への圧力のかけ方や効果的な政策の通し方なんかを指導しているんです。その中にいかに合法的に子供達を親から引き離すかとか、邪魔になる親を処罰する法整備のあり方なんかが子細に綴られていると。トランスロビーには世界的に強力な後ろ盾がいくつもついている上に、元々子供達をターゲットにしているんですね。

※3 デントンズ法律事務所、トムソン・ロイター財団ともに、この文書は必ずしも彼らの見解を表すものではないと注記している。

K:企業やブランド、ハリウッドがポリコレや性自認をマーケティングに利用している側面にも、無責任さを感じています


B:LGBTはエンタメ的要素が強いんですよね、だから若者も染まりやすい

そういえばあのロンドンの若い白人インフルエンサー、Kダブさんはどう思いました? アイデンティティを模索していたK-POP好きの青年が、突然「コリアン・ノンバイナリー」を自称して顔面整形手術を受けちゃったケースですけど。


K:ロンドン君が今のアイデンティティに至った経緯は知らないのですが、「トランスセクシャルは良くて、なぜトランスレイシャルはダメなんだ」とWokeたちの欺瞞を暴いた主張は、自分で考えた結論なのでいいことだと思いました。当のK-POPシンガーに歓迎されれば幸せでしょうね。

でも日本人が美白やカラコンしたり、鼻を高くするとか二重まぶたに整形するのや、日焼けして筋トレして、アフロにするブラックミュージックファンなんかも似たようなもんですけどね。「ノンバイナリー」というワードも、一昔前は「ユニセックス」みたいな言い方だったのがスタイリッシュに変化したみたいですね。


B:Kダブさんのヒップホップに対する愛情や黒人文化へのリスペクトって並ならぬものがありますけど、トランスレイシャル(自認が生まれ持った生物学的特徴と異なる人種の持ち主)願望はありますか? 仰る通りファン心理からアーティストのスタイルを真似るのは普通だと思うんですけど、ロンドン君はアイデンティティをコリアンに変えようとして整形手術に踏み切ったんですよね。なぜ暴走してしまったんでしょう。


K:もちろん日本人として、人種(モンゴロイド)も伝統文化も大和民族の歴史も誇ってますけど、アジア系の前にヒューマン・レイス(人類)でもあるので、たまたま自然現象として日本列島に生まれた神(宇宙)の子(地球人)と思っていれば、他の人種への憧れはなくなりますね。

アートとか宗教とかでは、そこで生まれたらどうなっていたかなと想像はしても、自分は日本、特に20世紀後半に生まれてこれて本当によかったと感謝してますよ。古い言い方だけど「コスモポリタン」みたいな感覚が備われば、どんなアイデンティティだろうと自分を誇るのは自分次第ですから。


B:達観されてますね。ただ若いうちは他者と差別化を図ることで自己確立を試みたり、隣の芝生が青く見えたりってあるんでしょうね。

一方でLGBT界隈がやたら代名詞とか旗とかテーマカラーとか用語にこだわるのは、一種の帰属意識でしょう。子供達は居場所を探しているんじゃないかな。

先日も日本のTwitterを見ていたら高校生トランスジェンダーを名乗る子が自傷行為をほのめかしてたんですけど、アライ(理解者)がわーって大挙してなぐさめてくれるんですよ。得体の知れない大人達が「みんな君のこと愛してるよ、大丈夫だよ」とか言って群がって。見てて複雑ですよ。


K:この世界同時多発的なLGBT意識の啓蒙活動は、元々あったゲイライツ運動がエスカレートしたものなのか、家族制度の崩壊やニュージェンダー市場開拓を目的とした破滅的なアジェンダをリベラリストたちが実現したくてやってるのか、いつもそれが疑問です。反キリスト教で、プロチョイス派と似てる気がします。


B:現代のLGBT運動は70年代のゲイライツと全く異なりますねLGBの当事者が全く無視されていることに加え、過激なジェンダー論とサヨク思想に乗っ取られて、完全に核家族の根絶やモラル破壊がアジェンダになっている行き過ぎたLGBT法整備や早期ジェンダー教育が浸透している国にイギリスやカナダなんかがありますけど、左傾化が著しいですもん。

米国だって小さな子供達への性別移行やトランスジェンダー女子の女子スポーツ参加を許してる州って、カリフォルニアとかオレゴンとかワシントンとかでしょう。どれも超がつくリベラル州ですよ。大抵ANTIFAなどの極左勢力とLGBT運動が連帯しているのも危険な兆候です。


K:あともう一つ、子どもの命に関わることでこの数年、連邦保安局が積極的に人身取り引き捜査をし、かなり子どもたちを救出保護してるという事実について、報道も地元ネット局のニュースに出るだけで全国リベラルメディアが大きく扱わないことにも薄気味悪い共通点を感じます。


B:子供達の人身売買、性的搾取にも繋がりますけど、寂しい自称LGBTの子供達をアライのふりをしておびきよせる性犯罪者が多いんですよね。ソーシャルメディアで相談に乗ったりして、「親には内緒だよ、どうせ理解してくれないんだから」なんて言って倒錯的な性指南を施したり、テストステロンを買い与えたりして懐柔というか自分好みのLGBTキッズに育成するわけです。米国では「グルーミング」って言いますけど。

子供達の安全や人権が、LGBTアジェンダの前に軽視されていることに同意します。


K:少し前までは高校を卒業するくらいまで誰も自由じゃなく、わからないことはわからないまま成長できたのが、いまはネットで間違った情報に簡単に吸い寄せられてしまうから、子どもが子どものままいられない悲しい時代になってますよね…。

「エプスタイン事件」あたりからフェイクニュースが本当にフェイクニュースという確信を持ち始めたことからも、トランプ大統領がイバンカさんとミッシングチルドレン(行方不明の子供)に取り組んでいたことを知り、そのとき支持を決意しました。Drain The Swamp(問題を解決する)の意味がわかってきたからです。


B:トランプ大統領は現代LGBT運動の欺瞞を指摘していました。トランスジェンダー女性の女子スポーツへの参加も猛反対していた。女性や子供の立場を考えればこそですよ。

閉じられたベッドルームで大人同士が合意のもと何を楽しもうと自由ですが、今のLGBTは公共の場で特殊性癖を見せつけ、子供達の心身を蝕むものになっている

日本も米国もメディアが多角的な視点からLGBT問題を報道し、保守勢力がしっかり議論を主導しないといけません


K:メディアがメディアの仕事をしないことが最悪です。リベラル民主党とシリコンバレーの相性が良すぎるのも問題です。保守層はいろいろ不器用なので、もっとスタイリッシュな演出をしていくといいと思います。


B:Kダブさんはあまり左右意識せず自由に発信してらっしゃる気がします。現在の日本の政治と御自身の理念を照らし合わせたときに、Kダブさんの立ち位置ですとか、これからの政治家に期待することなどをお聞かせ下さい。


K:世界はいま大きな分岐点にあると思います。日本の戦後レジームでは21世紀にはもう通用しません。日本国民はこれまで主体性をあまり出さないように生きてきました。今後の世界の流れに向き合い、抗うためにも、教育で「自由」の意味や価値をじっくり伝える必要があります

奇しくもアメリカが自由を手放しそうなまさに今、アメリカの愛国者たちがこの問題にどう対峙してるのか、私たちが徹底的に研究するチャンスにしたいですね。そのためにも、現地で何が起きてるのかを直ちに教えてくれるBlahさんのような存在がありがたく、いつも貴重な情報によって分析する材料が豊富になり、とても助かっています。

子どもたちや、われわれ人類の子孫がそのままこの先の未来になり、次世代が新しい世の中を作るのはすでに決まっているので、「セーブ・ザ・チルドレン」の気概を持つ正義のヒーローが、日本に、世界中にもっといっぱい増えるといいですよね。


B:とても有意義な対談をありがとうございました。


K:いえいえ、こちらこそ。



【関連記事】

トランスする子供達 LGBTと子供のジェンダー(前編、Blah)