トランスする子供達 LGBTと子供のジェンダー(前編、Blah)

在米日本人女性 Blah

2018年3月20日のBuzzFeedの記事によれば、性的マイノリティに関して日本の高校2年生1万人にアンケートを実施したところ、自身をLGBT当事者と自認したのはおよそ10%であったという。これは一見驚異的な数字に思える。


しかし内訳を見れば、LGBTが2.8%、Xジェンダーが5.0%、クエスチョニングが2.1%であり、要は思春期には自然な「性の揺らぎ」が導いた結果だとわかる。そもそも同アンケート内で「LGBT・性的マイノリティという言葉も内容も知っている」と回答したのはLGBT当事者の63%に過ぎず、多くの生徒達は何が何やらわからぬまま、「よく女っぽい/男勝りと言われるから」とか「同性の先輩に憧れたことがあるから」などという理由で回答欄にマルをつけていったと推察できよう。


いずれにせよ高校2年という多感な時期にあり、高次認知機能を司る前頭前野が未だ成長過程にある子供達に、「性的指向」や「性自認」を尋ねることの意義は甚だ疑問である。


それでもBuzzFeedやHuffington Postなどのリベラルメディアは「今やLGBT当事者は左利きの数と同じくらいいる」と主張し、レインボー・フラッグを高く掲げる。この奇妙な「LGBT推し」は何だろうと、疑念を抱いている日本人も多いだろう。


TwitterやInstagramなどを活用する人なら、LGBT当事者を自称したり、アライ(味方、同志)を名乗る若者が随分と増えたと感じるかもしれない。これは例によって欧米のトレンドが多少の時差を経て日本列島に上陸していることを表している。LGBT、とりわけトランスジェンダー運動は今や大企業CEOや米国大統領すら刮目する一大ムーヴメントであり、セレブからアカデミアまでが祝福し賛美する新しい革命であり、情報の渦に呑まれデジタル世界に埋没する子供達が心酔するカルト的トレンドなのである。

欧米におけるトランスジェンダーの存在感は既にLGBのそれをしのぐ。エリオット・ペイジ(前エレン・ペイジ)などハリウッド俳優が性別移行・性別適合手術を公言したり、アンジェリーナ・ジョリーやシャーリーズ・セロンの子供達がトランスジェンダーと明かしたり、YouTubeやInstagramなどにはトランスのあれこれを指南するインフルエンサーが溢れ、図書館に行けば児童書のコーナーにはLGBと並んでトランスジェンダーの絵本まである。


今や子供向けアニメのキャラクターもLGBT色を押し出し、Pixerが新作のキャストに14歳のトランスジェンダーJessを発表して話題になった。最近では2歳から4歳児が対象のBlue’s Clueという大人気幼児番組にドラァグ・クイーンが出演、性的マイノリティについて歌い踊る始末である。


虹色の髪、スタイリッシュな衣装の隙間に見え隠れするミステリアスな性、そして彼らの多彩なストーリーは連日TVや雑誌を飾り、その生き様を理解できない者、受け入れられない者は「前時代的、保守的、差別的なトランスヘイター」として軽蔑される。


ギャラップ社の2018年の調査ではGenZ世代(ジェネレーションZ世代、1990年代後半から2000年代生まれ)の若者6人に1人がLGBTを自認するというが、彼らの目には大人達がさぞカタブツの差別主義者に映ることだろう。


子供達、とりわけ米国の少女達にとってトランスジェンダーは「最高にクールなトレンド」であることは間違いない。爆増する少女達のトランスブームに警鐘を鳴らした『Irreversible Damage』の著者Abigail Shrierは、次のように指摘する。


「かつて自己の体に激しい違和感を覚える性同一性障害(性別違和)を訴えるケースはおよそ2歳から4歳の間に認識があり、その違和感は時に成長につれ悪化するものの70%はいずれ消失し、またその割合は人口の0.1%程に過ぎなかった上に、ほぼ例外なく男子であった。事実、2012年以前は11歳から21歳の少女達による性同一性障害の科学論文はなかったのである。その後事態は急変し、欧米諸国では多くのティーン少女達が突然性別違和を訴えトランスジェンダーを自認し始めた


著者はこのトランス・クレイズ(熱狂)の謎を解き明かすべく、当事者の少女達、その家族、多大な影響を与えるトランス・インフルエンサー達、そしてジェンダー医療関係者らに膨大なインタビューを試みた。そして彼女は「スマートフォンの普及により激変した対人関係、ネット上での絶え間ない容姿や人気の争い、女性の尊厳を損なうような過激なポルノの閲覧などにより、自身の女性としての性を卑下したり、性的マイノリティを告白することで周囲との絆を模索する少女が増えたのではないか」と推測する。


また、友人間でトランス自認が伝播する「peer contagion(仲間内感染)」現象や、当事者にメンタルヘルス問題や自閉スペクトラム症が見られるケースが多いことにも着目する。


かつては拒食症や自傷行為であったものが、思春期の性の揺らぎや早期ジェンダー教育、LGBTブームや華やかなインフルエンサーによって地位を得た「性別違和からのカムアウト、そして時に身体改造を伴う性別移行」となって少女達を蝕んでいる、とShrierは懸念する。


彼女の主張は有名なDr. Littmanによるレポートやその他の統計、当事者少女やその家族らの証言に基くもので、かなり正確に米国の現状を反映していると言えるだろう。しかし当事者やそのアライ(味方、賛同者)達は本の内容に激怒し、「トランス差別を助長する」として全米で抗議運動を展開、Amazonや大手量販店のTargetに本の販売停止を働きかけた。


遠く離れた日本からは「我々の時代にもファッションメンヘラなんて言葉があったし、一過性のものじゃないのか」と楽観視する向きもあるだろう。しかし現実はより複雑で、時に親権問題にまで発展する

後編に続く


本文と挿絵:Blah(Twitter: @yousayblah